針金かけは盆栽を成形するうえで重要な作業です。枝に針金を巻きつけることによって、枝を曲げたり、枝の位置を変えたりすることができます。枝が新しい場所で固定されるまでに数か月はかかり、針金は状況に応じて外していく必要があります。

 

 

針金かけの方法

針金かけは、どの樹種でも年間を通じて行うことができます。活動期の枝はすぐに太くなり、針金が食い込みやすくなるので、樹皮に針金あとがつきやすくなります。定期的に枝をチェックし、針金を取り除いて巻きなおしてください。

 

材料

針金かけには適切な素材を使いましょう。基本的には、アルミ線と銅線の二種類を使います。初心者は、柔らかく、また手に入りやすいアルミ線を使うことをおすすめします。針金はさまざまな太さがあり、1ミリから8ミリ程度の太さまであります。すべての種類を取りそろえる必要はありませんので、まずは1ミリ、1.5ミリ、2.5ミリ、4ミリなどの針金を準備すればよいでしょう。太い枝に針金かけをする場合には、曲げた際に針金によって枝が傷つかないよう、あらかじめ枝にラフィアを巻いて保護するとよいでしょう。

 

銅線

銅線

アルミ線

アルミ線

 

かけ方

基本的には、近い場所にある同程度の太さの枝を二本選び、その二本の根元に針金をかけ、それぞれの枝に針金をかけていきます。まず枝に針金をかけ、目指す樹形を考えてから、枝を曲げはじめてください。全体に針金をかけるときには、主要な枝から残りの枝へと針金をかけていきます。針金の太さの目安としては、かけようとしている枝の太さの1/3程度の太さの針金を使うとよいでしょう。新しい枝の形を十分に保てる太さのものを選んでください。

詳しい針金のかけかたについては、この後の項目で説明します。

 

二本がけ

  • まず同じ太さで近くにある枝を二本選びます。一本の針金で二本の枝にかけるときには、幹を少なくとも一度(できれば二度)回し、後で枝を曲げた時に針金がずれないようにしておいてください。
  • 両方の枝に針金がかかる十分な長さをとって針金を切ります。
  • まず幹に針金を巻き、枝へと針金をかけていきます。一方の枝の先まで針金をかけ終えてから、もう一方の枝の作業に移ってください。針金は枝に対し約45度の角度で斜めにかけていってください。この方法なら、枝を曲げた新しい形のまま太く育てることができます。
  • 枝を下向きに曲げようとするときは、針金も下から巻いてください。反対に上向きに枝を上げようとするときには、上から針金を巻いてください。
  • 主要な枝に二本がけで針金をかけ終えたら、残りの枝は一本がけで針金をかけていきます。

 

一本がけ

  • 二本がけの時と同じように、必要な長さに針金を切り、幹に少なくとも二度まわしてから、45度の角度で枝に針金をかけていってください。
  • 複数の針金が幹や枝の同じ部分に重なるときには、できるだけ平行に並べて針金を巻くようにしてみてください。

 

枝の曲げ方

全体に針金をかけたら、本格的に曲げをつけ、枝の配置を変えていくことができます。枝を曲げるときは、枝が折れるのを防ぐため、針金が乗っている部分に親指をあて、そこを支点にして力を加えて曲げていってください。何度も曲げを作ると枝が痛んでしまうため、曲げなおさないで済むよう、一度で位置決めをするのが理想的です。枝には自然な曲げを入れましょう。

 

アフターケア

木を直射日光のあたらない場所に置いてください。施肥は通常通りにしてもかまいません。
成長期の間は木をよく観察し、針金が木に食い込んでしまわないように、時期をみて針金を外していきます。外した針金を再利用することはおすすめできませんので、針金は解くのではなく、カットしながら外していってください。その方が外しやすく、枝を傷つけにくくなります。