香り高い、黄色く大きな実が成った姿は一興です。
花姿も美しく、古くなり所々はがれ落ちる樹皮と力強い樹姿も魅力的です。
早く実を楽しみたい場合は、実着きの良い一才カリンや唐カリン(実生カリンの台木に成熟した穂木を接いだもの)がお勧めです。姫カリンなどもありますが、大きな実が成る種であるため太りも良く、枝も太めで枝打ちも少し粗いので小品盆栽はあまり見られないかもしれません。展示会などで中品や大品で見られる豪快な樹姿はこの樹種独特の魅力を放っています。
実生で育てたカリンが実を着けるようになるにはかなりの年数を要します。ですので早く実を見たい場合は、前述の唐カリンや一才カリンをお勧めします。 自家結実の高い種ですが、別の樹と受粉した方が結実が良くなります。また、実よりも細かな枝打ちを重要視したいのであれば実生カリンの方が唐カリンよりも枝打ちが細かいと言われています。実の着いた枝はその大きな実を支えるため枝が太ります。小品盆栽では実も良いですが、枝打ちの細かい物を選んで、実は無くとも枝味と独特の樹皮などでも本種の魅力を十分に楽しむことができるでしょう。
カリンの手入れ
置き場
日当りが良く、風通しの良い場所に置きます。寒さにも良く耐える樹種です。
水やり
表土が乾いたらたっぷりと水やりします。成長期には非常に水を必要としますので、水切れには注意します。水切れすると花付き、実着きに影響します。
施肥
大きな実を成らせる樹種なのでたくさんの肥料を必要とします。ですが肥料の与え過ぎによってせっかくの実が落ちてしまうことがありますので注意します。置き肥を4月の下旬から7月頃まで2、3回与えます。8月には肥料は置かないようにします。こうすることで実の色付きを良くする効果もあります。9月から11月まで再度しっかりと与えます。深い緑で照り葉であれば肥料が良く効いていると言えます。リン酸分を多めに与えると良いでしょう。植え替えの際に骨粉や元肥を植え土の下の方に撒くのも効果的です。
剪定と針金掛け
伸びだした新梢が固まる5月から6月に2、3葉を残して剪定します。あまり早く剪定してしまうと花着きを悪くしてしまうのでこの時期に行います。花は短く止まった枝に着くので秋まで犠牲枝を伸ばしその周辺の枝を短く止めておくことで花芽の着きを良くする方法もあります。十分な樹勢があれば葉刈りも可能です。新梢が固まった頃に前述の芽摘みを行い、ふところの弱い部分などを残して全ての葉を刈り取ります。2週間程で2番芽が吹き、枝分れを早く作ることができます。また5月から6月は枝の柔らかい時期で針金掛けの適期でもあります。上に向かって伸びがちな枝を針金で伏せるのが基本です。太りが早い樹種なので良く確認して針金が枝に食い込み始めたら外します。また葉刈りと同時に針金掛けを行うと樹姿も確認でき、葉が邪魔にならず作業もしやすく樹作りに効果的です。カリンは強い切り込みにも良く耐えます。秋の落葉後から芽出しまでに不要な強過ぎる枝や、方向の悪い枝などを樹姿を確認しながら切り戻します。
植え替え
芽出しの早い樹種ですので芽出し前に植え替えます。 2月頃、基本用土で約3分の1程の根土を落とし根を切り、植え替えます。根の成長があまり早い樹種ではありません。若木なら2年に一度、老樹の場合は3、4年に一度で良いでしょう。根頭ガンシュ病、早い芽出しも考慮して秋の植え替えも可能で、9月下旬から10月中旬に植え替えます。
繁殖
実生、挿し木、取り木、接ぎ木、殖やすことが可能です。
詳細については、盆栽の手入れのペ ージをご参照ください。