花もの盆栽は非常に人気があり、また小さな木に実のなる姿も人々を魅了します。ただ、花を咲かせ実を成らせるには注意すべきことがあります。

一般的には、花ものと実ものは、他の盆栽樹種と同様の手法で管理、また成形されます。

日によく当てて水やり等に気を付けていても、間違った時期に剪定をしたり、頻繁に窒素肥料を与えたり、水切れをする等の原因で花や実を見ることが出来ないことがあります。

 

 

開花のための手入れ

樹に花芽を持たせるためには特別な肥料(低窒素、リン酸およびカリが多いもの)を使用して、よく日に当てて、水管理に注意して下さい。
満開のときは非常に樹はエネルギーを使います、また水揚げも多くなるので水切れには注意して下さい。花が雨に当たると花が痛み、見た目にも美しくないので、長く花を楽しみたい場合には雨に当てない方が無難です。

花もの盆栽は、その樹種によって花芽の分化の時期に違いがあるので剪定の際は少しその点に気を付ける必要があります。

 

Flowering Azalea bonsai

花をつけたサツキ

 

花ものと実もの

例えばツツジは他の多くの樹種と違い、樹の根元が大きく発達しやすい樹種です。これは頭頂部よりも下部の方が樹勢が乗りやすい傾向を意味しています。花芽は夏に形成するので、花後がまず剪定の時期をなります。その後に剪定が必要になる場合も花芽を確認する必要があるでしょう。

梅を例にあげますと、花後の枝は短く剪定できますが、切り詰める際には葉芽を残して剪定しなければなりません。葉芽がわかりにくい場合には芽が動くのを確認してから剪定するのが一番の安全策です。

ザクロ、ブーゲンビリア、ムラサキシキブ、ギンロバイ、サルスベリなどは、伸びだした新芽の先に花を付ける樹種です。

リンゴ、サンザシ、木瓜のように、強く伸びだす徒長枝には花を付けず、充実した短枝に花芽を付ける樹種も多くあります。あえて徒長枝の剪定をせずに他の枝を短く保ち、花芽を充実させるという方法もあります。

樹にあまりにも多くの花、また実を付けると大変に樹が消耗します。十分に楽しんだら早めに実を摘み取る、または適宜間引く必要もあるかもしれません。

実を観賞の対象としない花ものは花が盛りを過ぎたら適宜摘み取るのが樹に一番負担をかけません。それらのほとんどはしおれれば実を結ぶことなく落花し、基部に種子を形成します。

ほとんどの種は雌雄同株なのですが、雄樹、雌樹にわかれる雌雄異株のものがあります。
例えばウメモドキは雌雄異株の樹種で、雌花が受粉すると赤い実をつけます。受粉のために開花の時期に雄樹と雌樹を近くに置きます。より確実にするために筆を使って花粉を付ける場合もあります。


実もの(中でも特に赤い実)は鳥が好みます。実を鳥に食べられないように保護する必要があるかもしれません。鳥に自然に間引かれる方が樹の負担は軽いかもしれませんが、展示会などに出品予定の樹などはやはり保護した方がよいでしょう。

 

アデニウムの盆栽

アデニウムの盆栽

 

ブーゲンビリアの盆栽

ブーゲンビリアの盆栽

 

実を付けた樹

ロウヤ柿

 

サクラ

サクラ

 

明るい紫の花

ブーゲンビリアの盆栽

 

ヒメリンゴの盆栽

サンザシの盆栽

 

小さなオレンジを付けた盆栽

キンズの盆栽

 

藤の盆栽

藤の盆栽

 

 

ムラサキシキブの盆栽

ムラサキシキブの盆栽