常滑は日本六古窯の一つで、急須、土管、盆栽鉢の生産地として有名です。常滑は、”滑らかな土壌”を意味し、常滑界隈で産出される粘土、そして類まれな技術で高品質の釉薬鉢や泥物鉢を制作する盆栽鉢作家でよく知られています。
今回、盆栽エンパイア(Bonsai Empire)はとこなめ焼協同組合に招待され、作陶家たちが織りなす真の職人技をドキュメンタリーとして制作しました。盆栽鉢制作の作業工程に焦点をあて、6人の職人をそれぞれの窯元でフィルムに収めました。
常滑盆栽鉢作家
盆栽鉢 制作工程
ステップ1 陶土の準備
製土工房では、常滑の窯元用に土の仕入れ、混成、精製、出荷を行います。常滑焼は多種多様な作品を生み出す陶産地なので、製土工房には様々な種類の土が管理されています。各窯元が求める最高の土になるよう注文に応じて配合しています。
盆栽鉢作家である各窯元は自分たちの理想の鉢づくりを行うために、工房から仕入れた陶土を、成形しやすいように練り直します。
次は成型です。成型には3つの異なる方法がありますが、まずは型押しからご説明します。
ステップ2a 型押し成型
原料の粘土を土練機で十分に練り、その粘土の塊を針金でスライスして薄い粘土板を作ります。
粘土板を丸パイプに乗せ、型の上に粘土板を移します。
型に乗せた粘土板を砂袋で押し付けながら、型にぴったりとくっ付けていきます。内部の余分な粘土をヘラを使って取り除き、粘土の厚みを一定にします。そのまま一日置いて乾燥させ、型を外します。通常ここで鉢の底面に水抜きの穴をくり抜き、作家の落款を落します。最後に、型によっては鉢の縁を手作業でつけます。
ステップ2b ろくろ成型
陶芸と聞いて通常思い浮かべるのはろくろを使用した方法でしょう。今回紹介している全ての鉢作家は、完璧な様式の盆栽鉢を作り上げる素晴らしい職人技を披露してくれました。
型押し成型では、型によっては足付の場合もあるので成型時に作られますが、ろくろ成型の場合は、一日鉢を乾燥させて、その後に足だけを付けていきます。
ステップ2c: タタラ作り
全ての盆栽鉢が型やろくろで作られるわけではありません。全ての鉢の形が似ているわけではなく、また全てが丸いわけではないのです。窯元によっては、タタラで鉢を作る人もいます。それが、顧客が求めるまさにその注文通りの鉢を作り上げることを可能にしているのです。通常は鉢の胴体部分が先に作られ、数時間の乾燥の後に縁が付けられます。そしてまた数時間の乾燥の後に足が付けられます。
ステップ3 仕上げと乾燥
水仕上げ 鉢の表面と縁を滑らかにするために、職人は様々な種類の布やヘラを水に濡らして使います。
乾燥 鉢を乾燥させると、後に焼成した時に鉢の形が崩れません。鉢の大きさによりますが、乾燥には1日から3日かかります。この画像で見られる鉢は施釉後の乾燥工程中で、次の焼成の工程を控えています。
ステップ4 施釉
主に落葉樹や広葉の常緑樹に合うように、鉢が施釉されます。鉢は釉薬が入った桶に浸され、その後焼成前に約1日乾燥させます。場合によっては施釉を二回施し、再度焼成することもあります。
ステップ5 仕上げ 焼成
焼成の直前、乾燥の工程の中で表面と縁を磨き、滑らかにします。
一日乾燥させた後、盆栽鉢作家は鉢の底に手書きで銘を入れたり、落款を押します。
その後、鉢を窯に入れ、約30時間かけて窯内を摂氏1180度まで上げ、その後完全に冷まします。
常滑盆栽鉢作家
片岡勝資(黎鳳 誠山陶園)
片岡秀美(秀峰 義村陶園)
渡邉一弘(壹興 カネ正製陶所)
渡辺角幸(角山 角山陶園)
柴田勝一(柴勝 柴勝苑)
田中辰弘(とこなめ焼協同組合製土工房)