サンザシは多くの場合、低木のように育つ植物であり、太い枝にするためには何年もかかるものです。小さな葉、白い花、赤い果実、特徴的な樹皮など、盆栽にするのに魅力的な特性を数多く持っている植物です。

また、細かな枝を育てていくのも容易です。しかし、残念ながらサンザシを採取するのは簡単なことではなく、掘り出すと多くの場合枯れてしまいます。そのため、古いサンザシを採取するためには多くの経験と慎重な作業が必要です。

このサンザシは2008年の10月に、有名な販売者であり山採り業者であるWolfgang Käflein氏から購入しました。おそらく2007年に採取されたもので、その後、コンテナで育てられていました。高さは1メートル、幹の直径は14センチ程度です。Wolfgang Käflein氏によると、樹齢は少なくとも60年から80年であるとのことでした。

 

 

Hawthorn bonsai

Hawthorn prebonsai

サンザシは冬季も屋外に置きます。この写真は12月に撮影されました。

 

2009 prebonsai

Hawthorn nursery stock bonsai

2009年3月にはいくつかの枝を剪定し、直径6センチほどの枝を鋸で切ったところ、30以上の年輪が確認できました。Wolfgang Käflein氏の樹齢の予測はあながち間違っていなかったと思います。
その後、素焼きの鉢にとりあえず植え替えました。植え替え前のサンザシは畑土と砂で育っており、根が十分に発達できていませんでしたので、古い土をすべて洗い流しました。
植え替え後の土壌は、赤玉に軽石と培養土を少量加えたものとしました。Wolfgang氏が採取の際に太い根をカットした部分があり、完全には土で覆うことができませんでしたので、その部分からの乾燥を防ぐために、自転車チューブをかぶせました。土中へと新しい根が出ることを期待してのことです。

春には小さな濃い緑色の葉が出ましたが、徒長枝は出ませんでした。葉の成長には、根の成長も待たなくてはなりませんでしたが、5月になると明るい緑の葉が現れるようになり、はじめての徒長枝が成長しはじめました。その後、十分に日光があたる場所に移動したところ、6月には木が植え替えのダメージからも回復し、健康的な成長をはじめたように見えました。

 

Fungus on bonsai

Closeup

残念ながら、いくつかの小枝に変形がみられるようになり、さび病であることがわかりました。病変した小枝を切って、殺菌剤を数回スプレーしたところ、回復が見られました。この病気は、毎年かかる可能性があるものなので、夏には注意して観察する必要があります。

 

Nov 2009

Winter

10月下旬の紅葉時期まで、サンザシをそのまま成長させましたので、50センチほどの長さの徒長枝が出てきています。葉が落ちた11月には、再度剪定を行いました。

 

Roots

Roots grown

2010年3月、かぶせていたゴムチューブをはがしてみると、元の根から新しく強い根が出ているのが確認できました。このゴムをかぶせる方法は、新しい根を育てる方法として有効だと思います。

 

 

Bonsai

Bonsai

2010年には、もう一度そのまま自由に成長させたところ、7月にはたくさんの強い徒長枝が出てきています。
8月には徒長枝の剪定を行いました。左側の、このまま育てたいと思う場所にある枝のみ残しました。

 

Photo 1

Photo 2

2011年3月に、新しい鉢を選び、サンザシを再び植え替えました。根元をさらにコンパクトにしましたが、細かい根を出させるため、定期的にこの作業を続ける必要があります。
2011年に新しい芽を数回剪定したので枝分かれが急速に増えました。8月の画像ではそれがよく分かります。

 

Bonsai fruits on hawthorn

Finished Bonsai tree

2011年10月には美しく紅葉しました。
2012年には、小さな花と、いくつかの果実まで見ることができました。枝ぶりはまだ完全ではありませんが、大きなサンザシが盆栽として良い姿になってきたと思います。