ヒノキの訳として「cypress」がよく使われますが、これは厳密にいえばイトスギ属の西洋ヒノキとヒノキ属のヒノキを含んだ呼び名です。
ヒノキは東日本~台湾を原産とする常緑の樹木です。その高さは40メートル(130フィート)にまで達することもあり、太さも直径3メートル(10フィート)ほどになるものがあります。濃緑でうろこのような葉が平に広がります。樹皮は赤褐色で、帯状に剥がれるのが特徴です。ヒノキは雌雄同花植物で、球状の実をたくさんつけます。秋には茶褐色の殻の中から羽根のついた小さな種を飛ばします。ヒノキを盆栽とするには、定期的な芽摘みや剪定が必要です。頻繁に手入れを行っていないと、葉が茂って内部まで日光が当たらず懐(内側の枝)が枯れてしまうからです。小さな盆栽に適したヒノキには、津山ヒノキ、石化ヒノキなどがあります。ヒノキの一種のマキの木は観賞用として美しい木ですが、古くなった部分からは芽を出さないので盆栽には向いていません。ヒノキはよく接ぎ木されますが、台木の部分が大きく膨れることがあります。
ヒノキ盆栽の具体的な手入れガイド
配置: ヒノキは成長期には日当たりの良い場所を好みます。冬でもできるだけ日光に当てるようにし、凍てつく風や霜からは保護してください。
水やり: 土が乾いてきたらこまめに水を与えますが、根が常に濡れた状態にしておくのは好ましくありません。水やりには石灰を含まない水を用い、冬には乾ききらない程度で水を少な目にしてください。ヒノキの葉は高湿度を好み、乾燥した熱風でダメージを受けることがあります。
施肥: ひと月に一度ほど固形肥料を与えますが、成長期には液肥で回数を増やしてもよいでしょう。
剪定と針金掛け: 内側の小枝に光を入れるため、重なりすぎた葉は取り除き、定期的に芽摘みをしてください。日光が十分に入らないと、懐が枯れてきてしまいます。ヒノキは針金をかけて枝が固定するまである程度の時間がかかりますし、何度か針金を掛けなおす必要もあります。剪定と針金かけは、年間いつ行っても構いません。
植替え: ヒノキは2~4年に一度植替えをしますが、古い木は植替えの間隔をもう少しあけてもよいと思います。根はすぐに成長しますので、植替えの際に大きく整理しても問題ありません。通常は水はけの良い用土を使用しますが、夏季には少し水持ちをよくするため腐葉土を混ぜることもあります。ヒノキに石灰質の土は向かず、わずかに酸性の土のほうが向いています。
繁殖: ヒノキは実生、挿し木、取り木によって増やすことができます。種から芽を出させるには低温処理を必要とし、発芽に一年ほどかかることもあります。挿し木をする場合は、夏の終わりに穂を取るのが理想的です。
害虫と病気: カイガラムシやダニはヒノキ盆栽に悪影響を与えますので、農薬や殺虫剤を使ってください。葉先に色抜けが生じたときも同じです。
詳細については、盆栽の手入れのペ ージをご参照ください。
ヒノキ盆栽
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