古くから私たちに身近な樹種である杉は盆栽としても大変魅力的な樹種です。
八房杉やその他、屋久杉や北山杉、吉野杉などに代表される地域による変異も多く見られ、また、園芸品種、盆栽にはあまり用いられませんが石化杉などもあります。盆栽樹形としては山杉や八房種が多く用いられ、やはり直立性を利用した直幹や双幹、また寄植えなどがよく似合います。古くなると幹に赤茶の皮が乗り、味わいが増します。
杉の手入れ
置き場: 日当り、風通しの良い場所に置くことが基本です。自然界では降水量の多い地域に多く見られるので、湿度を保つ工夫が出来れば良いでしょう。冬場の乾燥,、風には注意が必要です。弱っている樹や冬場に作業をした樹はムロに取り込んで管理する事をおすすめします。
水やり: 水はたっぷりと与えて下さい。水切れは葉焼けや枝枯れの原因になります。葉水も励行しましょう。空中湿度を上げ、葉の汚れなどを洗い流す事ができ、また病害虫の予防にも効果的です。
施肥: 自然界では肥沃な土地に生育しており、肥料を好む樹種です。茂った枝葉は多くの肥料を必要とします。旺盛な芽吹きを促すためにも成長期には十分な施肥をして下さい。芽摘み後は肥料を控えめにして下さい。
剪定と針金掛け: 若木からの樹作りの場合は、真っ直ぐに伸びた直感の樹形に仕立てるため、幹に針金を掛けます。枝も芯に針金を掛け、基本の枝の振りを躾けたら細かな枝葉は鋏による切り込みで作るのが良いでしょう。ある程度年数の経った樹を針金で成形する場合の針金掛けには注意が必要です。枝を下げる場合は、”さっくり”と折れてしまう事があるため太めの針金を用い、その抵抗を利用して慎重に下げて下さい。杉は金気を嫌うと言われる事がありますが、成形にはある程度の針金掛けは必要でしょう。ただ、前述のとおり枝棚作りの細かな姿の作り込みには芽摘みの繰り返し、鋏による切り込みの作業が有効です。
春から伸び出した芽が固まる5月の終わり頃、更にその後伸びた芽を9月の終わりから10月の前半に芽摘みをします。伸びた芽を三分の一ほど残して指で摘み取ります。強く伸びた固い芽には鋏を用います。出来上がった棚に芽摘みだけを繰り返して維持していると、込み過ぎてしまいますので鋏で透かす作業も必要です。
植え替え: 3月から4月ですが、茶色く霜焼けした葉が緑に戻った頃が適期です。9月から10月の秋の植え替えも可能です。水を好むため松柏の基本用土よりも赤玉の割合を多くすると良いでしょう。
繁殖: 挿し木で容易に殖やすことが可能です。
詳細については、盆栽の手入れのペ ージをご参照ください。